
1982年公開の『ブレードランナー(Blade Runner)』は、リドリー・スコット監督によるSF映画の金字塔。原作はフィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。主演はハリソン・フォード(デッカード役)、ルトガー・ハウアー(ロイ・バッティ役)。
近未来のロサンゼルスを舞台に、人間そっくりの人工生命体「レプリカント」と人間との関わりを描きます。映像美と哲学的テーマで、公開当初よりカルト的な人気を誇り、今なお語り継がれる作品です。
英語学習の観点では、比喩的で美しい言葉や、哲学的で深みのある表現が魅力。難解な部分もありますが、印象的なセリフを味わうこと自体が学習につながります。
“All those moments will be lost in time, like tears in rain.”
(あの瞬間すべては、時の中に消えていく。雨の中の涙のように。)
レプリカントのロイが最後に残す、映画史に残る名セリフ。
・all those moments:「あのすべての瞬間」
・lost in time:「時の中に失われる」
・like tears in rain:「雨の中の涙のように」
過去形や比喩を使った、まるで詩のようなセリフ。字幕では「雨の中の涙のように、やがて時に消えていく」と訳され、儚さが強調されています。
“I’ve seen things you people wouldn’t believe.”
(あなた方が信じられないようなものを、私は見てきた。)
同じくロイのモノローグ。
・I’ve seen things …:「〜を見てきた」
例:I’ve seen things that pictures can’t capture.(写真では伝えられないものを見てきた。)
現在完了形を用いて、「これまでの経験」が強調されています。英語学習的にもわかりやすい構文ですが、語り方によって深い余韻が出ます。
字幕では「信じられないようなものを見てきた」などと訳されますが、原文の wouldn’t believe には「絶対に信じないだろう」という強い響きがあります。
『ブレードランナー』英語学習のコツ
1. 短いセリフを暗唱してみる
・代表的なのは “I’ve seen things you people wouldn’t believe.” や “Like tears in rain.”
短いから覚えやすいのに、詩のような深さがあります。発音練習に加えて、セリフの「間」や「感情」を真似すると英語のリズム感が身につきます。
2. 比喩表現をじっくり味わう
・“lost in time” や “tears in rain” など、詩的な言い回しを楽しめます。直訳ではなく「なぜこの比喩なのか?」を考えると、語感や表現の広がりを学べます。
3. ナレーション風のセリフに注目する
この映画は会話よりも独白や哲学的なモノローグが多いです。I’ve seen things … などは日常では大げさですが、「経験を語る現在完了形」の練習に最適です。
4. 映像と一緒にフレーズを覚える
雨、ネオン、音楽――セリフとビジュアルの結びつきが強い映画なので、映像と一緒に覚えると忘れにくいです。例えば “like tears in rain” は、映像があるからこそ印象が何倍にも増します。
5. リスニングのハードルを気にしすぎない
未来的な雰囲気や環境音が多く、セリフが聞き取りにくい場面もあります。まずはスクリプトや字幕と一緒に学ぶのがおすすめ。セリフ量自体は少ないので負担は少なめです。
まとめ
『ブレードランナー』は、ただのSF映画ではなく「人間とは何か」を問いかける哲学的な作品。
・セリフは短いながら象徴的で、暗唱すると英語表現力が上がる
・詩のような比喩が多く、中級〜上級者におすすめ
・英語学習をしながら「言葉の余韻」を感じられる映画
“All those moments will be lost in time, like tears in rain.” は、映画史だけでなく英語表現としても心に残る一文です。