
1997年公開の映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(Good Will Hunting)』は、ガス・ヴァン・サント監督による感動の人間ドラマ。主演はマット・デイモンとロビン・ウィリアムズ。脚本はマット・デイモンとベン・アフレックが手掛けました。
物語は、天才的な数学の才能を持ちながらもトラウマと孤独を抱える青年ウィルと、セラピストのショーンとの交流を中心に展開します。友情、愛、そして「自分を受け入れることの大切さ」がテーマとなった作品です。
この映画の英語は難しい専門用語が少なく、日常的な会話や感情を込めた短いフレーズが多いのが特徴。英語学習の観点でもとても学びやすい作品です。
“It’s not your fault.”
映画のクライマックスで、ショーンがウィルに繰り返し伝える言葉。
“It’s not your fault.”
(お前のせいじゃないんだ。)
虐待を受けて育ったウィルは、心の奥底に「すべては自分のせい」という罪悪感を抱えていました。その心の傷を癒すために、ショーンは何度も繰り返し “It’s not your fault.” と伝えます。
このシンプルな一言が、ウィルの心を揺さぶり、涙とともに心を開かせる場面は、映画史に残る名シーンです。
日本語字幕では「君のせいじゃない」と訳されます。
直訳に近いですが、not your fault という表現は「責任は君にない」「君が悪いんじゃない」という強い肯定のメッセージを含んでいます。
一方、印象的なシーンでウィル(マット・デイモン)が吐き捨てるように言うセリフ。
“You’re just a kid. You don’t have the faintest idea what you’re talking about.”
(お前はただのガキだ。自分が何を言ってるのか、これっぽっちも分かっちゃいないんだ。)
ウィルの反抗心や怒り、そして心の奥にある痛みが表れている言葉。特に the faintest idea(ほんの少しの考えもない)は強い否定を表す言い回しで、彼の苛立ちを的確に表現しています。
「まだ子どもだ。何も分かっちゃいない」と簡潔に訳されることが多いですが、 “the faintest idea” の強調にはより強い感情の爆発が込められています。
英語表現としてのワンポイントアドバイス
・It’s not your fault.
シンプルな構文ですが、誰かを慰めたり支えたりする時によく使える表現です。
例: It’s not your fault. Don’t blame yourself.(君のせいじゃない。自分を責めるな。)
・You don’t have the faintest idea …
「全然分かっていない」という強調表現。
例:I don’t have the faintest idea where he went.(彼がどこに行ったのか全く分からない。)
*同じ映画の中でも、短く優しいフレーズと鋭く感情的なフレーズが共存しています。両方を聞き比べることで、英語の表現力の幅を感じ取ることができます。
まとめ
『グッド・ウィル・ハンティング』は、友情・愛・自己受容をテーマにした感動作。難しい言葉を使わなくても、人の心に届く表現の力を教えてくれる映画です。
英語学習の観点では 中級者向け。
・セラピーや日常会話が多く、難しい専門用語は少ない
・感情を込めたセリフが多く、イントネーションやトーンを学ぶのに適している
・短い一言に込められた「優しさ」と「怒り」を学ぶことができる
“It’s not your fault.” は短い一文ですが、人を救うほどの力を持つ表現。英語の「言葉そのものが持つ温かさ」を実感できる名セリフです。