
1991年公開の『アダムス・ファミリー(The Addams Family)』は、チャールズ・アダムスの漫画を原作としたホラー・コメディ映画。
一見不気味なアダムス一家ですが、実はとても愛情深く、個性的な生き方を貫いている家族。世間では“変わり者”とされる彼らが、「普通とは何か」を皮肉たっぷりに問いかける物語です。
英語は分かりやすく、発音も比較的明瞭。ユーモアを通して“ちょっとひねった英語”を学べる映画です。特にモーティシアやウェンズデーのセリフには、シニカルでウィットの効いた表現が満載です。
“Normal is an illusion. What is normal for the spider is chaos for the fly.”
(普通なんて幻想よ。クモにとっての普通は、ハエにとっての混乱なの。)
当主・ゴメスの妻で、魔女の血を引くモーティシアの代表的なセリフ。
・illusion:「幻想」「錯覚」
・chaos:「混乱」
「普通」の価値観が人によって違うという哲学的な一言。自分らしさを恐れない名セリフです。
“Don’t torture yourself, Gomez. That’s my job.”
(自分を責めないで、ゴメズ。それは私の仕事よ。)
モーティシアのクールでブラックなユーモアが光るセリフ。
・torture:「苦しめる」「拷問する」
・「自分を責める」という意味にもなるため、言葉遊びとして秀逸。
普通の夫婦の「慰めの言葉」が、アダムス家では“拷問ジョーク”に変わってしまうのが面白いポイント。「慰め」を「拷問」にすり替えるブラックユーモアは、英語のまま味わうのがベストですね!
“Are they made from real Girl Scouts?”
(それって本物のガールスカウトで作ってるの?)
長女のウェンズデーがクッキーを売る少女に放った伝説的な一言。
・「Girl Scout Cookies(ガールスカウト・クッキー)」=アメリカの有名な募金菓子。
・“made from” を「〜でできている」と直訳して皮肉にしたジョーク。
ダークな笑いを生み出す「言葉の裏を読む英語表現」を学ぶのに最適です。この映画では、日本語では伝わりにくい「wordplay(ことば遊び)」が多くありますね。
英語表現としてのワンポイントアドバイス
・Normal is an illusion. → “〇〇 is an illusion.” は応用が利く表現。
Perfection is an illusion.(完璧なんて幻想だ。)
・made from … → 「材料が変化してできたもの」。
Wine is made from grapes.(ワインはぶどうから作られる。)
・Don’t torture yourself. → 「自分を責めないで」。優しくも使える表現。
まとめ
『アダムス・ファミリー』は、ブラックユーモアの中に「家族愛」や「多様性」を描く名作。
・英語はウィットや皮肉が多く、文脈理解が楽しい
・ダークだけど温かい世界観で“言葉の裏”を読む練習になる
・英語学習者には 中級〜上級者向け(ユーモアの英語に触れたい人におすすめ)
“Normal is an illusion.” は、アダムス家の哲学そのもの。
観終わる頃には、「普通でなくていい」と思わせてくれる温かい作品です。