
2014年に公開されたデヴィッド・フィンチャー監督によるサスペンススリラー『ゴーンガール』。ベン・アフレックが上手に演じているクズ男っぷりも見どころです。英語学習の視点としてはスピードが速く、中上級者向き。ネイティブならではの言い回しや、独特な英語表現も吸収できるセリフが特徴的でした。今回は冒頭とラストで登場するセリフ“What are you thinking? How are you feeling? What have we done to each other?”を取り上げてみましょう。
“What are you thinking? How are you feeling? What have we done to each other?”
映画『ゴーン・ガール(Gone Girl)』は、結婚生活の「理想」と「現実」のギャップを徹底的に描き出した作品です。
“What are you thinking? How are you feeling? What have we done to each other?”
(君はいま何を考えているんだ?どんな気持ちなんだ?僕たちは互いに何をしてしまったんだろう?)
冒頭で語られるこのセリフは、一見すると日常的な夫婦のやり取りのようですが、作品を観終わると、「愛しているはずの二人が、いつのまにか互いを追い詰める存在になってしまった」ことを痛烈に浮き彫りにします。
その後、この問いかけはラストシーンでも繰り返され、観客に「結婚とは?夫婦とは?」という問いを突きつけるのです。
日本語字幕では、
・「君は何を考えている?」
・「どんな気持ちなんだ?」
・「僕たちはお互いに何をしてしまったんだ?」
といった形で比較的直訳に近く表現されています。
しかし、この「What have we done to each other?」には、単なる後悔以上の含みがあります。ニュアンスとしては「私たちは互いに壊し合ってしまったのか」「どうしてこうなってしまったのか」という感情が凝縮されており、原文の方がより深く不穏な響きを持っているのです。
英語表現としてのワンポイントアドバイス
このセリフで注目すべきは “What have we done…?” という現在完了形の使い方です。
・What did we do? なら「僕たちは何をしたんだ?」という“過去”の出来事をただ尋ねるニュアンス。
・一方 What have we done? は「これまでにしてきたことの結果、いまの状況がある」という“現在に繋がる後悔”を含みます。
つまり、現在完了形を使うことで「取り返しのつかないことをしてしまったのでは?」という重い響きが加わっているのです。日常英会話でも「やっちゃったかも…」というニュアンスを出すときには、ぜひ What have I done? を思い出してみてください。
『ゴーン・ガール』は観る人をゾクッとさせるサスペンスですが、同時に「言葉の使い方」が持つ力強さも感じられる作品です。