映画『キャロル』のセリフに学ぶ英語表現

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2015年公開の映画『キャロル(Carol)』は、トッド・ヘインズ監督によるラブストーリー。主演はケイト・ブランシェット(キャロル役)とルーニー・マーラ(テレーズ役)。

舞台は1950年代のニューヨーク。写真家を夢見る若い女性テレーズと、上流階級の既婚女性キャロルが出会い、社会の偏見や困難を乗り越えながらも惹かれ合っていく物語です。

映像の美しさ、抑えられたセリフ、そして視線や沈黙が語る多くの感情が印象的な映画。英語学習の観点では、シンプルで短いセリフに強い感情が込められているのが特徴です。

“I like the way you look at me.”
(あなたが私を見るその目が好き。)

キャロルがテレーズに語りかける印象的な一言。

the way you look at me:「あなたが私を見るその“仕方”」。
・“like” をシンプルに使うことで、控えめながら深い愛情を表現しています。
普段の会話でも “I like the way you …” は応用しやすい表現。
例:I like the way you smile.(あなたの笑い方が好き。)

“We’re not ugly people.”
(私たちは醜い人間じゃないの。)

キャロルが自分たちの愛を肯定するセリフ。

ugly は外見だけでなく「醜悪」「卑しい」といった内面的な意味も持つ。
・短い言葉ですが、「社会からの偏見に抗い、自分たちの愛は美しい」という強い意志が込められています。
日常英語としては単純な構文ですが、文脈によって強烈な意味を持つ良い例です。

英語表現としてのワンポイントアドバイス

I like the way you …:人の仕草や行動を褒める時に万能。
We’re not ugly people. のように「短い=強い」英語は、感情表現の良い学習例。
・1950年代が舞台なので、セリフは比較的落ち着いたトーン。リスニング初心者にも向いています。

英語学習の観点からLGBTQや女性のあり方を学ぶ

舞台は1950年代、同性愛が社会的に受け入れられていなかった時代です。また、キャロルは社会的に理想の女性像を体現していますが、「母親であること」と「自分自身の人生」の間で葛藤します。その葛藤の描写が、「女性が社会からどう見られ、どう縛られてきたか」を浮き彫りにしています。

セリフはシンプルですが、
・“We’re not ugly people.” のように「偏見に抗うメッセージ」が込められている。
ugly(醜い)が、単なる外見のことではなく「人間性」を否定される痛みを表す。
といった、単語の奥にある「社会背景」を知ると、英語の理解が何倍も深くなります。

『キャロル』は、恋愛映画であると同時に、LGBTQが直面してきた偏見や困難女性が社会の期待や役割に縛られてきた現実を繊細に描いた作品なのです。

まとめ

『キャロル』は、視線や沈黙が多くを語る繊細な恋愛映画。

英語学習の観点では 初級〜中級者向け
・シンプルで短いセリフが多く、覚えやすい
・感情を込めた言葉の使い方を学べる
・文脈次第で同じ単語の意味が深くなることを体感できる

“I like the way you look at me.” のように、簡単な言葉でも強烈に心を打つ――そんな英語の魅力を味わえる映画です。

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