
1999年公開の『グリーンマイル(The Green Mile)』は、フランク・ダラボン監督、トム・ハンクス主演の感動作。スティーヴン・キングの同名小説を原作にしています。舞台は1930年代、死刑囚監房を意味する「グリーンマイル」で、刑務官ポールと、特殊な力を持つ囚人ジョン・コーフィの交流を中心に描かれます。
人間の善悪や奇跡の存在、そして「命と死の尊厳」を深く問いかける作品で、鑑賞後には大きな余韻が残ります。英語は比較的シンプルですが、感情を込めた表現や比喩が多く、学習にもおすすめです。
“I’m tired, boss. Tired of bein’ on the road, lonely as a sparrow in the rain.”
(疲れたんです、ボス。道をさまよい、雨の中のスズメのように孤独でいることに。)
ジョン・コーフィが心の疲弊を吐露する名シーン。
・bein’ は being の省略形(口語的)。
・lonely as a sparrow in the rain:「雨の中のスズメのように孤独」=詩的な比喩表現。
単なる「疲れた」ではなく、孤独や絶望感を生き物の比喩で表現しているのが心に響きます。字幕では「雨の中の小鳥のように」とやや柔らかく訳されますが、英語の “sparrow” の方がより小さく儚い印象です。
“We each owe a death, there are no exceptions.”
(俺たちは皆、死の借りを抱えている。例外なんてない。)
ポールが語るセリフ。
・owe a death:「死を借りている」=「死は誰にも避けられない」
・no exceptions:「例外はない」
シンプルですが、避けられない運命を淡々と受け入れる重さが込められています。日本語では「死から逃れられない」と訳されることが多いですが、原文は「死は借り」という比喩で哲学的。
“He killed them with their love. That’s how it is every day, all over the world.”
(彼は人々を愛で殺したんだ。それは世界中で毎日起きていることだ。)
ジョン・コーフィが、人の心の闇を言い表した一言。
・with their love:「彼らの愛によって」=愛が悲劇を招いた
・that’s how it is …:「それが〜の現実だ」
「愛は美しいもの」という一面的なイメージをひっくり返す、切実で悲しいセリフ。字幕は「愛によって人は死ぬ」と簡潔に訳されることが多いですが、原文の “with their love” の方が皮肉で深い響き。
英語表現としてのワンポイントアドバイス
・as … as … の比喩は覚えておくと便利。
例:lonely as hell(ひどく孤独)・quiet as a mouse(とても静か)
・owe は「借りがある」以外に「〜すべき運命」という含みもある。
・口語での ’in(= ing の省略)は映画やドラマに頻出。
・That’s how it is …:現実や一般的な真理を述べるときに便利。
例:That’s how it is in big cities.(それが大都会の現実さ。)
まとめ
『グリーンマイル』は、命や人間の尊厳を深く描いた感動作。
・英語はシンプルながらも比喩表現が多く、学びがいがある
・セリフの「間」や「声の調子」に注目するとさらに理解が深まる
・英語学習者には 中級者以上向け(比喩や心理的表現に挑戦したい人におすすめ)
“I’m tired, boss. Lonely as a sparrow in the rain.” という一言に、ジョンの心の重さと人間らしさがすべて込められています。