
1979年公開の『クレイマー、クレイマー(Kramer vs. Kramer)』は、ロバート・ベントン監督、ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープ主演のアメリカ映画。
突然家を出て行った妻ジョアンナと、残された父親テッド、幼い息子ビリー。
父と子の不器用な生活が始まり、やがて彼らは互いに支え合いながら「家族とは何か」を見つめ直していく――。
派手な演出はなく、日常のささいな会話の積み重ねで物語が進むからこそ、自然な英語のリスニングと感情表現を味わえる作品です。
“How’s your dinner, champ?”
(夕飯の味はどうだい、チャンプ?)
テッド(父)が息子ビリーにかける、何気ないけれど温かい一言。
・How’s your dinner?:「ごはんどう?」「おいしい?」
・champ:「チャンピオン」「がんばり屋の子」などの愛称
普通の会話の中に、親子の距離が少しずつ縮まっていく温もりが感じられる名台詞。
「チャンプ」と呼ぶ優しさが、テッドの“父親としての成長”を象徴しています。
“I love you, Billy. I always have.”
(ビリー、愛してるよ。ずっとずっとだ。)
裁判を前にした父の心の叫び。
・I always have. は「ずっとそうだった」という過去完了の省略形。
感情を抑えながらも、愛情の深さが伝わるフレーズです。英語のまま聞くと切なさがより伝わりますね。
“It’s not easy for me, either.”
(僕だって簡単じゃないんだよ。)
ジョアンナとの離婚協議での一言。
・It’s not easy for me, either.:「(君だけじゃなく)僕だって辛いんだ」
英語の either は「〜もまた(否定文で)」という柔らかい共感表現。“either” は日本語訳では省略されがちですが、英語では“同じ痛みを共有する”意味を強調します。
家族映画ならではの、“英語の感情の微調整”が学べるセリフです。
英語表現としてのワンポイントアドバイス
・champ:子どもや友人への愛称として「よくやったな!」のニュアンス。
例:Good job, champ!(よくやったな、チャンプ!)
・I always have. のように省略で感情を伝えるのがネイティブ的。
・either は否定文で「〜もまた」で使う。
例:I can’t do it, either.(私もできない。)
まとめ
『クレイマー、クレイマー』は、愛すること・離れること・許すことを描いたヒューマンドラマの傑作。
・日常会話のリズムで自然な英語を学べる
・感情のこもった言葉の使い方を理解できる
・英語学習者には 中級者向け(家庭・感情表現に強くなりたい人におすすめ)
“How’s your dinner, champ?” は、親子の距離を一瞬で近づける魔法のような言葉。
シンプルだけど、心に残る英語の魅力を改めて感じさせてくれる映画です。