
2019年公開の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(Once Upon a Time in Hollywood)』は、クエンティン・タランティーノ監督による9作目の作品。
主演はレオナルド・ディカプリオ(リック・ダルトン)とブラッド・ピット(クリフ・ブース)。1969年のハリウッドを舞台に、時代の流れに取り残されていく俳優リックと、そのスタントマンであり友人でもあるクリフの絆を描いた物語です。
ノスタルジックな映像美と、タランティーノらしい会話劇、映画愛に満ちた構成が特徴。華やかなハリウッドを舞台にしながら、実は男同士の静かな友情がテーマでもあり、リックとクリフの会話には「不器用な優しさ」や「信頼」を感じさせる英語フレーズがたくさんあります。
“You’re Rick f***in’ Dalton. Don’t you forget it.”
(お前はリック・ダルトンだろ。忘れるなよ。)
友情の名セリフNo.1。
落ち込むリックを励ます、クリフの魂の一言。日本語だと励ましが柔らかくなりますが、英語では相手を信じているからこそ言える“怒鳴るような愛”が感じられます。日本語の「お前はお前だ、胸を張れ」に近いニュアンスです。
・Don’t you forget it.:「絶対に忘れるなよ」
*使える一言練習:
“You’re [Name]! Don’t you forget it.”
(お前は〇〇だろ、忘れるな!)
→ 仲の良い友人を元気づけるときに使えます。
“It’s official, old buddy. I’m a has-been.”
(決まりだな、相棒。俺はもう過去の男だ。)
自嘲しながら笑うリックのセリフ。
・old buddy=「古い友」「長年の親友」
・has-been=「過去の人」
失敗を笑い飛ばすユーモアと、隣で聞くクリフの無言の理解。「過去の男」は、直訳以上に業界での孤独や衰退を象徴する言葉です。
英語では old buddy や old pal が「昔からの仲間」という温かい響きを持ちます。
*使える一言練習:
“You’re my old buddy. You’ve always had my back.”
(お前は昔からの相棒だ。ずっと支えてくれたよな。)
“Actors are required to do a lot of dangerous stuff.”
(俳優ってのは危険なことをたくさんやらなきゃならないもんだ。)
クリフが皮肉を交えて語る一言。「危険なこと」=比喩として「リスクを取る」「挑戦する」という意味も含まれます。
・be required to …:「〜することが求められる」
ハリウッドの華やかさの裏にある現実をユーモラスに描くセリフです。
英語表現としてのワンポイントアドバイス
・Don’t you forget it. → “You’d better remember it.” より強い。「絶対忘れるな」の決め台詞。
・has-been →「過去の栄光にすがる人」。使うときは注意(ジョークで使うのが安全!)
He’s a bit of a has-been actor.(彼はちょっと落ち目の俳優だ。)
・old buddy / pal → 親しい友人を呼ぶ自然な口語表現。
まとめ
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、タランティーノ流の友情映画。
・派手なスラングの中にも優しさと絆がある
・“荒っぽくても温かい”英語表現を学べる
・英語学習者には 中級者以上向け(自然な会話・スラングの理解が必要)
“You’re Rick f***in’ Dalton.” に込められた愛情は、まさにこの映画の核心。
「言葉で多くを語らず、存在で支え合う」――それこそが、この作品の“男の友情”なんです。